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篠原 滋(しのはら しげる)
リスクコントロールアドバイザー・危機管理コンサルタント
産業カウンセラー・心理相談員・アンガーマネジメントファシリテーター・ハラスメント防止コンサルタント・安全衛生推進者・防災士・事業継続管理者日本セキュリティ監査協会会員・プライバシーマーク審査員・公務員倫理(JKET)指導者
総合電機メーカー系金融リース会社、法務部長、個人情報対策室長、法人営業部長歴任。コンプライアンス、会社リスク管理、内部統制等の構築、整備及び運用の責任者。大手監査法人系コンサルタントファーム、パートナー、シニアパートナー歴任。内部統制、内部監査、危機管理のコンサルティングを中心に活動。独立し篠原コンサルティングオフィス設立し代表。
リスクマネジメントとメンタルヘルス
リスクマネジメントと危機管理に関するコンサルタントとして、企業・団体の統合的リスク管理、従業員・職員の個別リスク管理に長年携わってまいりました。
企業・団体サイドにおける経営リスクは多岐にわたりますが、業種・業態や民間・行政に関わりなく存在するものとして「従業員・職員の健康リスク(以下、健康リスクという)」が挙げられます。各企業は少子化・高齢化等の社会環境変化に対応すべく『健康経営』を標榜し現有勢力で戦い抜き生産性を向上すべく諸課題に取り組んでいくなか、従業員・職員個々にある「健康リスク」を個人の問題とするだけではなく組織としても軽減する取組みが求められております。では、リスクマネジメントの進め方で「健康リスク」対策を考えてみましょう。
①リスクの定義:「健康リスク」とは、ある事象が顕在化するとその従業員・職員の健康を害することの発生の可能性のことをいいます。
②リスクの認識:ここでは「健康リスク」内の「メンタル不調」を取り上げます。
③最悪のシナリオ: 従業員・職員がメンタル不調を悪化させた場合最悪は自殺を選択する。
④リスク評価: 最悪の事態を招いた場合、組織に与える影響度と発生頻度で評価します。
・組織に与える影響は「最悪」、発生の可能性は「起こる場合もある」
⑤リスク顕在化の防止策: 適正なストレスコントロールの実施、ストレスの軽減、職場のコミュニケーション、職場環境の改善
⑥リスク顕在化の発見策: 定期的なストレスチェック・セルフチェックの実施と面談、
管理監督者のラインケア
⑦リスク顕在化の対処:産業スタッフ部門との連携、適切な治療および休職・職場復帰プログラムの適用
事前対応策(①~⑥)と事後対応策(⑦)への流れですが、発生後の事後対策まで行くことが、組織として個人としても大きな痛手であることは自明の理であります。
*リスクマネジメント・危機管理の鉄則は『事前の一策は、事後の百策に勝る!!』です。いま世間では「過労死問題」「長時間労働・加重労働」「ハラスメント」等メンタルヘルスを阻害する関連ワードが頻発し「働き方改革」が叫ばれている今日ですが、「自分には関係ない」「他人事」「メンタルヘルスに金はかけない」「健康意識への過信」等のリスク意識や危機意識に相当脆弱性がある方やある組織が依然として存在しています。
組織として・個人として、ふたつのことをお考え下さい。「当事者意識を持つこと」「潜在リスクを管理する気持ちを持つこと」。例えばストレスチェック受診の結果、高ストレスと判定されなかったこと方、それはあくまで受診時点の結果です。その後の就業環境の変化等によりストレス度はすぐに変化するため定期的なセルフチェックが望まれるところです。リスクマネジメントはリスクを適正にコントロールするための仕組みのみことです。どんなに素晴らしい仕組みやマニュアル等を用意しても、好結果をもたらすわけではありません。
「健康リスク」における「メンタル不調」やメンタル不調のトリガー(引鉄)となりうる「ハラスメント」(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントおよびマタニティハラスメント等)に関するメンタルヘルス対策やハラスメント防止対策についても同様です。そもそも企業・団体における『風通しのよい職場風土と良好な職場コミュニケーション』が如何に担保されているかが大前提です。企業・団体の皆様、自らの組織の職場風土には自信がありますか? コミュニケーションは良好でなんでも話ができる職場環境でしょうか?
「健康リスク」対策の優先順位は、前提はコミュニケーション、第一優先は意識付け、第二に仕組み作りであるとあらためてご理解いただけれは幸甚です。