- Home
- 真下 久幸
真下 久幸
「はた楽サロン」編集長
多摩美術大学美術学部で現代美術を専攻し、欧州へ遊学。帰国後、小学館プロダクションに入社。
次にベンチャー系の企業に転職し、最終的に関連会社の代表も含めた役員に就任。コンテンツ・ビジネスを主軸にした幅広い業務を担当。その中にはメンタルヘルス関連も含まれ、また「平成の資格王」ブランドの公務員講座、各種資格講座、リフォーム業のポータルサイト、仏像、掛け軸まで多岐に渡る。
国際健康財団理事、日本健康医療研究センター等に関わりつつ、各種カウンセラー、専門性の高い資格等の講座運営に関する業務に携わる。テレビ出演は2014年にTBSテレビ「いっぷく!」。
今回、「はた楽サロン」立ち上げに伴い、編集長に就任。
ストレスチェック制度は、メンタルヘルス不調の未然防止の段階、つまり最も初期の一次予防を強化することを目的としています。
次にメンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な対応を行う「二次予防」、不調者への対処、支援、職場環境の改善により職場復帰を支援する「三次予防」へと繋がっていきます。
このメンタルヘルス不調にはストレスとの関連が指摘され、さらには職場環境や労働時間等に原因が求められたりします。それだけでなく仕事と生活のバランスを崩すことで、様々な悲劇が急増している現実に対して、ワークライフバランスについて叫ばれるようになりました。日本特有の長時間労働はここ最近で数多くの事件を生みました。過去には貿易摩擦の原因になったこともあります。欧米諸国と比較した場合の労働時間水準の差が不公平競争といわれたのです。厚生労働省では「働き方改革」を「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ」として位置づけ、従来型の日本企業の文化そのものにメスを入れようとしています。メンタルヘルス対策という側面でどれだけの効果を上げるかは未知数です。しかし、同時に労働生産性についても考える必要があるのではないかと思っています。特に日本と比較されるのがドイツです。2000年代後半以降、ドイツ経済のパフォーマンスは奇跡的といわれるほどに回復しました。1990年に東西ドイツの統一による経済混乱、その後の金融危機を経て、回復期になりました。失業率は低下し、伝統的な雇用制度や労使協調が活かされつつ、一方で大胆な制度改革を通じて、雇用の創出、維持等を実現できたことで、経済危機後に圧倒的な経済パフォーマンスを成した原動力となったといえます。
その結果、ドイツは主要先進国の中で最も労働時間が短いにも関わらず、欧州ナンバーワンの強い経済力を誇り、労働者1人あたりが生み出す付加価値は日本より高いということになりました。もちろん、有給休暇の取得率は日本とは比較にならないほど高いわけです。この事実、日本ではあまり話題にならないのが不思議なほどです。
再びメンタルヘルスと関連付ければ、ドイツでは長時間労働による自殺や過労死も、労働者の鬱病の発症リスクも日本より格段に低く、日本のような社会問題となっていないという事実も注目すべきだと考えます。そんなドイツですが、ここからは個人的な思い出です。それは何と言っても1990年10月3日です。
第二次世界大戦後から40年にわたって分断されたドイツが再び統一を迎えた日です。本来、同一の国でありながら資本主義と共産主義という違った経済体制に別れ、「ベルリンの壁」に象徴される数々の悲劇を生んだ体制に終止符が打たれた瞬間でした。この日、ドイツ中部のネッカー川に近い小さな村では、秋とは思えないほど気温が上昇し、見事に晴れ渡った空が広がっていました。
そこで地元の人たちと昼間からビールを飲み、祝福ムードを満喫しました。
ある意味で、国や民族という大きなレベルで長年の「ストレス」が発散された1日だったのかもしれません。