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脱スマホ! ドイツの働き方改革

ドイツの靴ブランドであるビルケンシュトック(Birkenstock)は、240年以上の歴史のあるメーカーで、世界90カ国て販売されている。日本でも同様で、特にサンダルの知名度が高いので知られる。
そのビルケンシュトックのCEOであるオリヴァー・ライヒェルトが脱スマホを宣言したことが報道されている。ミュンヘンに本社のある南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)に、その記事が掲載された。(掲載ページ)
この記事のタイトルは「Das Smartphone ist eine reine Zeitklau-Maschine」といい、日本語では「スマートフォンは時間泥棒機器だ!」とでも訳せばよいのかもしれないが、Newsweekの日本語版では「スマートフォンは、クオリティ・オブ・ライフの大損失!」という表現で引用していた。
この南ドイツ新聞の記事の中で、ライヒェルトは、スマートフォンでちょっとしたことを確認しようとしただけなのに、気づくと、余計なことまで時間を浪費してしまい、知りたくもないことに頭を悩ませることになるとしている。
つまりはタイトルのように、スマートフォンは時間泥棒だ、というわけだ。
要するにスマートフォンを日常的に使うことで、メールやメッセージ、それに無駄な情報の洪水にさらされ、重要なことが埋もれてしまう危険性がある。世界規模の企業のCEOとして、手元にある情報端末が利便性をはるかに超え、判断材料の阻害要素になっていることになる。
記事ではスマートフォン依存に関する対策アプリ等の話にも触れているが、このニュースが話題になっているのは、その部分ではない。
脱スマホがドイツ企業の働き方にも関連している傾向にあるからだろう。
スマートフォンにより、業務時間外でも仕事のメールを受信できるようにしている企業が多く、その反動のように、24時間メールチェック体制に「No」が出されている。これについてはNewsweek日本語版でも紹介されているシュピーゲル誌に記事が掲載されている。そのタイトルは「Deutsche Konzerne kämpfen gegen den Handy-Wahn」で、これも日本語に訳すと「ドイツの企業は携帯電話の妄想と戦う」とするか、少しシニカルに「携帯電話マニア」の表現を使うか、といったことになるだろうか。(掲載ページ)
その中で一つだけ紹介すると、自動車メーカーのダイムラー(Daimler AG)。シュトゥットガルトに本拠を置く世界的自動車メーカーだが、日本ではベンツのメーカーといったほうがわかりやすいかもしれない。
そのダイムラーでは、2013年より、社員が休暇だった場合には、その社員に届くメールを自動的に削除するようにしているという。
ビルケンシュトックのライヒェルトが脱スマホした理由は、情報の洪水を避けることによって時間路費をなくし、逆に仕事を効率化しようとする目的だ。しかしダイムラーなどの働く側のメール制御は、時間外に仕事をさせない目的ともいえるだろう。
どちらも働き方に関係するドイツの動きであり、日本も参考にしても良いのかもしれない。