
かつて、某電気メーカーの人事部門に9年間在籍していました。
9年間といっても、本社の人事部人事課に3年、労務に3年、工場総務に3年。とても「計画的」異動をさせていただきました。
本社の人事の時に、要員計画を作成するよう指示がありました。多くのメーカーがそうであるように、本社人事には採用権限がなく、各事業部(工場)がその機能を持っていました。つまり、本社で立案する要員計画は、あくまでも「参考指標」あるいは採用にあたっての考え方を示したものとなるはずでした。
しかし、結果として要員計画は日の目を見ませんでした。各工場を一本化できなかったことが大きな要因でした。生産している物も、人も、場所も何もかも違うのに、別の工場と同じ考え方は採用できないという考えが多く寄せられたと記憶しています。
結果として、現場の繁忙感を背景に採用が進められていきました。
その3年後、円高に伴うリストラが始まりました。社員数を約25%減らすという内容でした。要員計画が頓挫してからリストラまでの間に採用された社員は、全体の15%に上っていました。もし、要員計画が頓挫していなければ、リストラ費用も少なく、痛みも比較的小さくなっていたことでしょう。もし、要員計画がもう3年早く日の目を見ていれば、リストラの必要はなかったことでしょう。そして皮肉なことに、リストラの労使協議の場には、自分は従業員代表として臨んでいました。
数年後から10数年後をデザインするのが企業人事だと、強く強く胸に刻んだことを覚えています。
コラム:三浦 才幸
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