毎朝繰り返される通勤地獄。
満員電車のストレスは、電車通勤者にとって切り離せないものです。

満員電車を原因とするストレスは、日常生活の一部であり、繰り返されることから、知らないうちに身体や思考への影響、あるいは働き方にも何らかの作用が及ぶことが想像されます。

例えば経済学者のブルーノ・フライの調査結果があります。
1985年から2003年にかけて行った幸福度調査では、人間が1日の中で不快に感じる第1位が通勤時間であったとしています。さらに「通勤時間が20分増えるのは、給料が3割カットされるのと同じくらいのストレスが生じる」と述べてもいます。

通勤時間との関係でも、満員電車に乗車する時間が長ければ、それだけストレスが生じた時間も長くなるだけでなく、自由な時間や睡眠時間なども減少していることになります。労働意欲にも影響を与えてしまうかもしれません。
都内近郊、首都圏の朝の通勤ラッシュはどの路線も凄まじい混雑率で、車内トラブルがおきるのも日常茶飯事の光景ともいえます。このトラブルもストレスです。
地方都市では電車通勤が減り、車通勤が増加します。この場合は、満員電車のストレスとは無縁になるかもしれませんが、道路の渋滞というストレスがあるかもしれません。

そこで調べてみました。

首都圏の路線で混雑率が低いのはどこでしょうか？
いきなり引越しというのは現実的ではないでしょうが、できるだけ満員電車のストレスが少ない沿線を知るのは意味がある気がします。

まず国土交通省が発表しているデータを見てみます。
「東京圏における主要区間の混雑率」というデータです。
このデータで「混雑率」が示されています。どんな基準なのかというと、国土交通省で定義していました。

混雑率100%：定員乗車。座席につくか、吊り革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる。

混雑率150%：肩が触れ合う程度で、新聞は楽に読める。

混雑率180%：体が触れ合うが、新聞は読める。

混雑率200%：体が触れ合い、相当な圧迫感がある。しかし、週刊誌なら何とか読める。

混雑率250%：電車が揺れるたびに、体が斜めになって身動きできない。手も動かせない

国土交通省のデータでは、各路線とも150％を超えるものが多く、それ以下の路線で、どこがストレスが少ないかを選ぶのは不可能になってしまいます。
さらに詳細なデータを見てみると、おすすめの2路線を発見しました。しかも、どちらも東急線です。
（郊外発着の路線は省いています）

東急多摩川線
混雑率：131% (矢口の渡→蒲田)
問題は路線が短く、ターミナル駅が蒲田という点です。蒲田が勤務先なら快適路線となりますが、ここで乗り換えて品川方面に向かう場合は、京浜東北線の満員電車でストレスになります。

東急池上線
混雑率：128% (大崎広小路→五反田)
ターミナル駅が五反田で、沿線には「戸越銀座」や「旗の台」という都内でも屈指の風情ある住宅街があります。五反田で乗り換えた場合、渋谷には3駅、品川には2駅なので、この範囲ならまずまず快適な路線といえるでしょう。

上記以外で実は穴場なのは、東武東上線かもしれません。

東武東上線
混雑率：138% (北池袋→池袋)
ターミナル駅が池袋ですから、蒲田・五反田とは比較にならない規模です。新宿にも埼京線で1駅ですから、東急の2路線よりわずかに混雑率は高いですが、利便性を考慮すると穴場といえるのではないでしょうか。

また、発想を変えると、通勤路線ではなく職場を変えるというのもあるのかもしれません。
あるいは、勤務先に徒歩で通勤できる距離に住む、というのもあります。

しかし、それはそれで別のストレスの要因が発生する可能性が十分にありますので、要注意です。