
背景
本社が東京の中堅外食チェーン。
外食産業は人手不足が深刻。この会社でも正社員の育成とアルバイトの戦力化に力を注いでいる。
社内の大きな経営テーマは、店舗ごとの業績格差の是正。
その策として、正社員をローテーションして不振店舗のテコ入れしようと躍起に。
しかし、エース級の正社員を業績不振店に配置しても格差は縮まらず。
店舗の業績をめぐって様々な仮説が飛び交う。
納得できる結果を求め、組織行動診断を実施することに。
結果
組織行動診断で見えてきたのは「正社員の能力がほとんど業績に影響を与えていない」という衝撃的な結果でした。
この会社、この規模の外食チェーンでは先駆的で、正社員の育成を第一に掲げ、積極的に研修を実施し、正社員の希望の応じて社外セミナーにも参加させる等、人税育成に非常に積極的でした。それにもかかわらず、この結果は、まさに衝撃以外の何物でもありませんでした。
実は、この会社において店舗の業績に大きな影響を及ぼしていたのは、バイトリーダーと呼ばれるまとめ役の存在でした。
リーダーシップのあるバイトリーダーがいる店舗は、その店舗の正社員の能力や経験とは無関係に活気にあふれ、業績がよかったのです。
一方で正社員はというと、多くはアルバイトが昇格したその店舗のバイトリーダーで、「エースで4番」でした。元々は地方の店舗で働くことを前提に採用された人たちです。正社員となった「エースで4番」の人たちには、様々な研修と待遇改善が行われ、現場での戦力として大きな期待が寄せられました。しかし、不振店舗のテコ入れという理由で、希望する店舗以外を委ねられた結果、当人たちのモチベーションは上がらず、むしろ退職を考える人が多い状況となっていました。
対応
正社員に対しては地域限定勤務制度を実施し、通勤可能な地域内でのローテーションを図るなどの対策を講じました。
こえとは反対に、バイトリーダーには本人希望による正社員登用制度と、希望勤務地の申告を改めて徹底することとしました。
これらの対策の結果、現場のモチベーションのみならず、業績も連動して向上したことはいうまでもありません。