
いきなりですが、英語で「大きなストレスを感じている」ことを表現するにはどうすれば良いでしょうか?
ごく簡単に「I feel a lot of stress.」とするのが無難かもしれません。
この動詞の「feel」が「感じる」の意味で、ストレスに対しても使われます。
ところが同じゲルマン系の言語であるドイツ語では、「fühlen」と「spüren」の2つの単語があります。どちらも同じ意味です。ただし、ストレスの場合は、「fühlen」を使うのが一般的です。
Ich fühle groß Stress.
同じ意味なのになぜ「fühlen」を使い、「spüren」を使わないのか?
区分としては、身体的に「感じる」のと、これ以外に一般的に使う「感じる」の違いで分けているようです。ストレスの場合は、身体的影響も考えられますが、ストレス単体を「感じる」のは、「fühlen」となるわけです。ところが調べてみると、現代では厳密な使い分けがされているとは限らないような気がします。感覚的であろうと、身体的であろうと「fühlen」を使っていれば、それで意味は通じます。特に外国人が話すドイツ語では、まず問題にならないといえます。
英語ではこのような区別がありません。
言語学者ではないので、あくまで想像ですが、もしかしたらドイツ語で「fühlen」ばかりを使うのと同じような理由があるのかもしれません。要するに、もともとは「感覚」と「身体」を使い分けていたものが、徐々に簡略化されてきたのかもしれません。その結果、英語では「feel」、ドイツ語でも「fühlen」をマルチに使うようになったのかもしれません。
一方、日本語で「感じる」はより多様に使われているといえます。例えば「痛切に感じる」の場合は、「感覚」という要素はあるものの、心の動きに比重がおかれているようです。また、「不便を感じる」などでは、「感覚」や「身体」というより気持ちの問題になっているといえます。
ちなみにドイツ語では、「痛切に感じる」が「Es sehr schwer empfinden」で、「不便を感じる」は「Es unbequem finden」となり、それぞれ動詞が「empfinden」と「finden」となります。
今度は別の表現で、「私はよくストレスを感じる」だったら、どのように英訳するでしょうか。
I often get stressed.
「get stressed」で「ストレスを受ける」となり、「get stressed out」だったら、「ストレスがたまる」という意味ですが、ニュアンスとしては「ストレスでへとへとになる」でしょう。
これもドイツ語にしてみましょう。
Ich werde oft gestresst.
英語の「get stressed」が、「gestresst werden」になります。「werden」は、自動詞として使われるときは「~になる」という意味で、助動詞として使うときは未来のことを表す時に使い、現在や過去の推測の表現としても使われます。そこでこの表現から勝手に想像すると、未来への変化や推測の範囲で、ストレスを受ける状態が続くことになるのかもしれません。
普段、「ストレス」に関する表現を気軽にしますが、各国の言語で、それぞれのニュアンスに差異があるのかもしれません。
なお、今回は、厳密に調査したり考察したりせずに原稿をアップしています。
とんでもない勘違いや、言語的に誤っている可能性も十分にあります。予めご容赦ください。