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新国立競技場の建設工事、81社が法令違反

東京労働局は新国立競技場の建設工事に携わった会社の中で81社が労働基準法や労働安全衛生法などの違反があったと発表した。管轄する新宿労働基準監督署が是正を勧告した。
新国立競技場の建設工事といえば、記憶に新しのが下請け会社で地盤改良工事を担当していた男性が自殺した報道だろう。今年3月のことだった。自殺直前には月200時間を以上という時間外労働があったとして、遺族が7月に労災を申請した。この事態を受け、東京労働局が労働実態の調査に着手することになった。現場に関係している762事業者を対象にして、社員の労働時間を報告するよう書面で求めることとなった。
東京労働局によると、集計した結果は以下のようになっていた。
元請け・1次下請け会社(120事業者)
月の時間外労働時間
45時間以下 61(50.8%)
45時間超60時間以下 11(9.2%)
60時間超80時間以下 15(12.5%)
80時間超100時間以下 19(15.8%)
100時間超 14(11.7%)
2次以下の下請け会社(564事業者)
月の時間外労働時間
45時間以下 528(93.6%)
45時間超60時間以下 21(3.7%)
60時間超80時間以下 7(1.2%)
80時間超100時間以下 5(0.9%)
100時間超 3(0.5%)
この調査の結果、「過労死ライン」の月80時間を超える時間外労働があった会社は元請けと1次下請けの会社で27.5%(120社中33社)を占めていた。月に100時間を超える事業者も、元請け・1次下請けで14社、2次以下の下請けでも3社あった。
この結果以外にも、「労働時間の把握が不十分」が69社、「過重労働による健康障害の防止措置不足」が65社、それぞれ指導を受けることとなった。
東京労働局労働基準部の樋口雄一監督課長は会見で、引き続き指導をするとして、指摘した事項に改善がない会社には、書類送検などの措置を取る可能性もあるとしていた。
この新国立競技場の建設はJVの大成建設で、下請け会社の労働環境の改善を求め、過重労働を防ぐための指導や援助も求めた。大成建設でも「再発防止策に努める」とコメントを出している。