
オトコの体臭で哺乳類はストレスに!
衝撃的な実験結果が発表されたのは、2014年4月28日の「Nature Methods」誌で発表された論文でした。(参考ページ)
これによると、男性の体臭は「強い生理的ストレス反応を誘発し、ストレス誘導性無痛覚(痛みの緩和)を引き起こす」という結果を動物実験で証明したということでした。
しかも、女性の体臭については男性同様の結果が全く見られなかったという内容でした。
カナダのモントリオールにあるマギル大学疼痛遺伝学研究室からの報告で、実験のリーダーはジェフリー・モギル(Jeffrey Mogil)でした。
実験に使った動物はネズミで、研究グループの男性たちが一晩身に付けたTシャツを使用して実験を行い、ストレス誘導性無痛覚は30~45分間にわたって持続したといいます。
モギル氏によれば、この現象は汗の中に放出された男性関連フェロモンの混合物によって誘発されるもので、マウスやラットに限定されるものではなさそうだといます。最終的には全哺乳類で同様の現象が発生していることが明らかにされるだろうとも語っていました。
ハンターに狙われていたり、ライオンやタイガーに追いかけられたりして、恐怖を感じている動物は、一時的に痛みの感覚を抑制し、全エネルギーを逃避に注ぐことができるそうです。
この現象こそがストレス誘導性無痛覚として知られているものです。
今回の実験では、男性が着たTシャツの存在が、痛みを麻痺させる無痛覚、ストレスホルモンの増加、体温の上昇、脱糞などの恐怖の兆候を示したことになります。
男性の脇の下の汗から放出されたものが、ネズミたちのストレスを引き起こす3種類のフェロモンあるいは「化学シグナル」として特定されたことになりますが、モギル氏は、「実際に嗅覚刺激となっているのは、化学物質の内どれか1つではなく、複雑な混合物だろうと考えている」と述べていました。
さらに、動物が男性の匂いに恐怖を感じる理由は、いくつかの種では生まれつき「単独でいるオスの匂いに反応して不安を感じる」性質が備わっているためかもしれないとも語っていました。
人間も哺乳類に属します。
オトコの体臭は社会にとってストレスの要因になっているのでしょうか?
もしそうなら、男性のいない環境に行くだけでストレス解消になるといえるのでしょうか?
一時的には可能でしょうが、女性だけの職場、学校、寮等々では別のストレス要因もありますから、必ずしもそれでストレスを排除することには繋がりません。
そもそも男性が勤務しない勤務先はありえても、男性のいない社会など人類としてありえません。
だとしたら。男性側では、この実験で使われた「汗臭(ワキ臭)」対策を考えるのも必要かもしれません。
そのためには汗を抑え、殺菌することが大切でしょう。例えばデオドラント剤は汗をかく前に使用するのが効果的ともいわれているようです。
少しの気配りで、女性のストレス要因をわずかでも減少させられるとしたら、やはり注意は必要でしょう。