
ストレス発散・解消に温泉に入る、あるいは心身ともに癒されたくて温泉に入る、このような発想は、われわれ日本人には極めて自然なことといえるかもしれません。温泉大国である日本人は、古来より温泉の効能に触れてきました。
しかし、温泉は何も日本の専売特許というわけではなく、ヨーロッパでは古代ローマの時代から浴場を完備してきました。
実はドイツも日本と並ぶほどの温泉大国といえます。
ドイツの地名には「Bad」のついた場所が多くあります。この「Bad」ですが、ドイツ語では入浴や温泉を意味する単語です。
「Bad」のつく地名で最も有名なのはバーデン・バーデン(Baden-Baden)でしょう。日本語に訳せば「温泉・温泉」という意味になります。ここは欧州だけでなく世界的に有名な温泉保養地です。「カラカラ・テルメ」、「フリードリヒスバード」などのクア施設があります。

Baden-Baden
欧州を代表する金融都市であり、ハブ空港のあるフランクフルト(アム・マイン)のすぐ隣にもヴィースバーデン(Wiesbaden)という都市があります。
他にも例えばバート・ノイエンアール(Bad Neuenahr)、バート・ヴェーリスホーフェン(Bad Wörishofen)など、ドイツの地図を見渡せば多く見つけることができます。
ドイツでは日本と同じように温泉に入ることもありますが、実はサウナも積極的に利用されています。ローマ帝国の植民地だったことからローマ式のサウナ浴場が現在も文化として残っています。
しかもサウナマイスター(Saunameister)という管理士制度もあり、サウナによる健康管理指導も充実しています。
そのマイスターの指導によるサウナの正しい入り方によれば、サウナに入る時間は長くても15分以内だそうです。サウナから出たら、外の空気にあたり、ゆっくりと身体を冷やし、その後に水風呂、さらに足湯で今度は暖めるのが良いそうです。続いて横になって休み、ここまでがセットになった一連の流れになります。
3回この流れを繰り返すのが正式なドイツ式だといいます。
ところでドイツのサウナというと、実は日本人が最も驚くのは、男女混浴で、水着着用も禁止の場所が多くあるという点です。ドイツ人は混浴に対して全く抵抗がないようなのです。
ドイツの混浴サウナ施設は日本語サイトでもかなり多く紹介されているようですが、日本から比較的行きやすい施設として一つだけ紹介しておきましょう。
空港の利便性を考えると、圧倒的に便数の多い都市がフランクフルト(アム・マイン)です。そこから気軽に行けるのが、隣町のヴィースバーデンです。ここに「カイザー・フリードリヒ・テルメ」があります。
ここではサウナの種類が複数あり、ぬるめ、熱め、古代ローマ式、スチーム、フィンランド式、石作りなどのサウナがあります。
浴槽も25℃程度で広さの異なるものから、37℃程度のぬるめの浴槽、42℃程度の熱めの浴槽などが揃っています。日本の大きな日帰り温泉施設やスーパー銭湯に引けをとらない充実度といえます。
また、日本以上にドイツではマナー・ルールが厳格です。
観光客でもルールを守らない人は厳しく注意されます。そのルールの中でも、サウナではタオルを敷き、汗を木に垂らさないというのは日本人には馴染みがないかもしれません。つまりサウナに入った場合、日本のようにタオルを身体に巻いたりせず、座る場所に敷かなければならないということです。
このルールと混浴の影響で、サウナの室内では若い女性であろうと、もちろん男性であろうと全裸をさらけ出していることになります。なれない日本人には目のやり場に困ることになるかもしれません。
日本の温泉も良いですが、もしドイツ旅行をして、時間に余裕があるのなら、ドイツの温泉+サウナを体験するのもお勧めです。
ただし全裸の老若男女を見ても動揺しない方に限ります。