
6月から7月にかけての時期に見頃を迎える花といえば紫陽花(アジサイ)ですが、紫陽花の名所といわれるような場所には寺院が多くあります。
例えば東京では高幡不動尊、妙法寺、神奈川県ではアジサイ寺として名高い鎌倉の明月院(鎌倉市)などが知られています。
しかし神奈川県でも3000株の「紫陽花の名所」でありながら、知名度が低いため知る人ぞ知る穴場の寺院があります。
それが淨慶寺です。
ストレス解消・発散のテーマで紫陽花を取り上げるのもありえるでしょうが、今回は淨慶寺境内のもうひとつの主役である羅漢です。
淨慶寺は川崎市麻生区の南西部、町田市との境に近い丘陵部に位置します。
元和元年(1615年)の開山の浄土宗寺院で、本尊は阿弥陀如来です。
紫陽花の季節でなくても、かなりインパクトを与えてくれるのが羅漢なのです。
とにかくユニークな羅漢に囲まれた境内はそれだけで楽しく、微笑ましくもあります。
この羅漢ですが、正式には阿羅漢です。仏教では尊敬や施しを受けるに相応しい聖者のことをいいます。ただ一説には仏教成立以前から存在した言葉ともいわれ、仏教以前のインド宗教から、尊敬されるべき修行者のことを意味していたようです。
釈迦の時代では既に不用意に自称することのできない尊格になっていたともいわれます。
羅漢像としてよく知られるのは五百羅漢かもしれません。
仏陀の弟子500人、あるいは仏滅後の第1回の結集に集まった弟子を五百羅漢と称します。埼玉県川越市の観光名所となっている喜多院の五百羅漢などは人気です。
浄慶寺の羅漢は、風刺画的な要素を持っていて、確かにある意味で「聖者」といえるかもしれません。
日常で目にするような光景でありながら、それぞれの羅漢の姿を通すことで、主観的に見ていたものが解放されるのかもしれません。
<浄慶寺>
■住所 〒215-0021 神奈川県川崎市麻生区上麻生6丁目34−1
小田急線柿生駅から徒歩で約10分程度の場所ですが、丘陵部の中腹にあるため、かなり分かりにくい位置です。住宅街に隣接しているものの、坂を登っていくとまさに異世界が広がってくる感じがします。