いわゆるジャンクフード（junk food）といえば、栄養価のバランスを欠いた食品のことで、一般にイメージするものとしてはハンバーガー、カップラーメン、スナック菓子、それにピザなどもあるだろう。すべて高カロリーで塩分も多く、ビタミン、ミネラル、食物繊維等々があまり含まれないことが特徴といえる。
「ジャンク」とは、英語で「がらくた」「屑」を意味し、英国食品基準庁では「高カロリー、高塩分、または多量の砂糖を含んだ食品」と定義している。

日本人でもジャンクフードが好きな人はかなり多いし、別にジャンクフードが好きでなくても、目の前にあればついついつまんでしまったり、何となくハンバーガーが食べたくなったりすることもあるかもしれない。

ジャンクフードについては、ある種の中毒性があったり、摂取する栄養の偏りから、日本に限らず世界中で問題視されていた。
世界保健機関では、肥満リスク増加と関連付けたことで、結果的に糖尿病、心血管疾患、がんと関連付けられると報告している。ジャンクフードの摂取量の増加により、従来はある程度の年齢によるリスクだった肥満や糖尿病などが若年化に繋がり、生活習慣病の原因になるという報告もある。

このほど海外ニュースを伝える「MailOnline」では、「ジャンクフードとうつ病」に関するコラムが掲載された。これを読むとジャンクフードの見方を考え直すことになるかもしれない。

まず、オランダの研究者グループによって明らかにしたのは、ジャンクフードで毛細血管が傷つけられると、うつ病のリスクが最高で58%高まるという報告だった。
ジャンクフードでは、摂取できる栄養素が少ないため、WHOの報告同様に高血圧や糖尿病を招きやすくなる。この結果として毛細血管がダメージを受けるというものだ。

では、なぜ毛細血管のダメージがうつ病に繋がるかだが、その前に血管について知らなければならない。血管は身体中に酸素を送っている。もし、それがが十分に機能しなくなると、臓器に十分酸素が行きとどかなくなる。特に脳は脆弱なので、酸素不足により化学物質のレベルが狂うことがある。このような神経伝達物質のバランスの乱れにより、うつ病の原因が発生すると、マーストリヒト大学の専門家グループは語る。

論文の筆頭著者であるミランダ・シュラム氏は、毛細血管に「何か異常が起きると、組織もおかしくなる。毛細血管の血液循環にとって高血圧も糖尿病も弊害になるということに注意」と語っている。

今回の研究者グループは、4万3,600人を超える成人が参加した712の研究データを分析した。参加者は全員40歳以上で、その中で9,203人がうつ病と診断されていた。

分析の結果、血液に障害の兆候が見られた場合のうつ病発症リスクは、兆候が見られない人と比べて58%高かった。
毛細血管の不具合により軽度の脳卒中を患った人は、そうでない人と比べてうつ病リスクが30%高かったことも分かった。

しかしこの研究結果についての反論もある。
毛細血管の障害がうつ病の原因だというのは安易な結果で、証明になっていないという専門家だ。ニューヨーク州精神医学研究所のブレット・ラザフォード医師などは「健康な脳の老化と精神神経疾患との関係性は、双方向で複雑なものである」と語っている。「双方向」という点に注目で、要するに、毛細血管の障害がうつ病の原因の可能性は否定できないものの、逆に、うつ病が原因で毛細血管に障害が起こった可能性も否定できないというものだ。

この研究結果の報告の是非はともかく、ジャンクフードについてはうつ病になる・ならない以前に食べ過ぎがよくないというのは改めて考える機会になるのではないだろうか。