ストレスを発散・解消する / 秘湯の癒し(秘湯ぶんぶくの湯)

茨城県に秘湯があります。
しかも伝説に彩られた知る人ぞ知る効能豊かな霊泉だといいます。

入浴はリラックス効果が高くなるため、ストレスを発散することができるということは、「ストレスを発散・解消する方法・5」で説明している通りです。
これに非日常である「秘湯」が加われば、それだけで効果は数倍になるのではないかと思えます。

そこで首都圏からも程よい距離に位置する北関東の温泉を取り上げるというのは良くある話といえるでしょう。ただその場合、群馬・栃木の有名温泉が筆頭になり、茨城でしかも秘湯というイメージを抱く温泉は頭に浮かばないかもしれません。草津温泉、伊香保温泉、鬼怒川温泉、那須塩原の温泉等々、知名度だけでなく効能豊かな有名温泉をさしおいて、最初に茨城の誰も知らないような温泉を取り上げるわけです。

その秘湯のある目的地は茨城県笠間市。
これまた意外な都市といえるでしょう。笠間を温泉のイメージで捉える人は皆無ではないでしょうか。

平成18年に、旧笠間市、友部町、岩間町が合併したことで新制・笠間市が発足し、人口は3万人程度から7万5,000人にまで増加しました。
旧笠間市は「関東の小京都」と呼ばれる、のどかな地方都市という雰囲気でした。そして何といっても笠間といえば、東京に一番近く、関東最古の窯元だといわれている笠間焼です。江戸安永年間から続く伝統工芸です。
古くから日本三大稲荷のひとつといわれる笠間稲荷神社が鎮座することで、鳥居前町としても、笠間城の城下町としても栄えてきました。また、稲田石という笠間で採掘される御影石は、明治神宮、最高裁判所等々で使われているのはあまり知られていないかもしれません。

親鸞聖人

そんな笠間ですが、実は縁ある人物として親鸞聖人を無視するわけにはいきません。

現在の笠間市稲田は親鸞聖人が本拠を構えたことにより、浄土真宗発祥の地とされているからです。市内は親鸞伝説に溢れ、西念寺は別格本山となっています。ただ、水戸天狗党の乱により、江戸時代に兵火に遭ったものの、今では大半が再建されています。

しかし、効能豊かな霊泉は親鸞聖人の霊験によるものではありません。
親鸞聖人より前の時代から伝説化している「弘法大師踏み止めの水」です。

国道50号線の才木交差点を北側に進んだ先が目的地になります。交通量の多い国道を過ぎると、周囲はどこにでもある地方都市の郊外という雰囲気になってきます。
そのまま進み、右手にセイコーマート笠間大渕店が現れると、そのすぐ横の道路に入ります。さらにのどかな光景となり、わずかに走って、左折します。農家と林が点在する細い道路です。
その突き当たりに目的地である「秘湯ぶんぶくの湯」があります。

山奥ではなく、里から少し離れた袋小路という印象です。おそらく「秘湯」というイメージとは異なる雰囲気でしょう。

秘湯ぶんぶくの湯は、昭和58年に開店した日帰り入浴施設で、宿泊施設もあります。
決して歴史的な温泉旅館というわけではありません。
これだけの情報だけでは、何の魅力もない温泉施設となってしまい、草津温泉や鬼怒川温泉を凌駕する魅力は何も伝わらないでしょう。

そこで伝説と源泉に注目です。

伝説によると、源泉は弘法大師が関東ご巡錫の折に発見されたと言われています。
この湧き水こそ「弘法大師踏み止めの水」といわれているものです。大師が足で湧き出る水を踏み止め、この霊水で村人の病気を癒したという伝説が残っています。
山間に「ぶくぶく」と湧き出る様子から、訛って「ぶんぶくの湯」と呼ばれるようになりました。古くからこれを沸かした湯は胃腸病や皮膚病に良いと言われ、最近では特にアトピー性皮膚炎に良いと訪れる人が多いといいます。

泉質は、ヒドロ炭酸、塩素イオン、カルシウム、ナトリウム。無色透明・無臭で、効能は、腰痛・肩こり・皮膚病・胃腸病・冷え性・美肌・アトピー。

周囲は林がわずかに広がっていて、市街地からそれほど離れていないものの、鄙びた雰囲気は十分に感じられます。
駐車場は裏側で、あまり広くなく、民家の庭に彷徨い込んだ感じさえします。ニワトリが歩いていることもあるようで、都会から来たの人には完全な非日常空間です。適当な表現を選ぶのは難しく、いわば独特なムードが漂っているとでもいった感じです。少なくとも、温泉入浴施設に到着したという感じはしないでしょう。

駐車場脇に入口があるため、施設の建物としては裏側に相当します。古い扉を開け、スリッパに履き替えて中に入ります。左側に数歩進むと、浴場の入口が男女別に分かれて並んでいます。入館料はさらに先へ行き、調理場で声をかけて払います。

非日常の空間という刺激はともかく、ここではやはり温泉そのものが肝心です。
内湯だけという素朴そのものなのは、外観から想像したとおり。都内近郊で流行している日帰り温泉施設が、露天風呂・各種サウナ・ジャグジー等々、様々な施設がてんこ盛りなのに対し、ここには温泉の原点だけがある、そんな感じです。純粋に温泉だけを堪能する人にはも悪くないのかもしれません。

脱衣所も浴室もかなり寂れている感じです。
浴室は小ぢんまりとしていて、家庭の風呂が少し大きくなった程度です。ヒノキ風呂で、以前は木の香りがかすかに漂ったのだろうが、今はあまり香りを感じられないようです。
湯は無色透明なせいか、目立つような特徴は感じられません。源泉を沸かしているからだと思うが、湯は常に注がれているわけではありません。蛇口がすぐ脇にあり、湯も水も調節可能になっています。

現代的なリラクゼーションを目的に訪れたのなら、ここは逆にストレスをより溜め込んでしまう可能性があります。
しかし、昔懐かしい農家の雰囲気と、何より霊験あらたかな弘法伝説に彩られた温泉にいることを思うと、これはこれで味があるといえます。万人向けではありません。

実際、この温泉で皮膚病を完治させた知人がいます。
あまりの効能・効果に、都内の大学病院の医師に説明したものの、相手にされなかったというエピソードもあります。

弘法大師が発見し、ぶくぶくと湧き出る鉱泉が自分の身体を包む。
そう思うことで、日常生活から離れている実感、旅情も感じてくるから不思議です。湯煙の中にストレスが消失していきます。

ところで、源泉温度が低い沸かし湯は、天然自然の湧出から高温度を保っている温泉と比較して、価値が低いような先入観を持つ人が多いでしょう。
しかし、天然温泉といいながら、循環方式の温泉が一般的になっています。湯量の少なさをカバーできる反面、レジオネラ菌の問題に直面することもあります。また、循環によって温泉成分の変化も問題になります。そう考えれば冷鉱泉の沸かし湯も、改めて見直す必要があるのではないかと思います。

浴室から出たら、隣の休憩所に入るのがお勧めです。
大広間は、舞台にカラオケ装置があり、窓際にテレビがあります。各テーブルにお茶の用意がしてあるので、自由に飲めます。
ここでは食事も出来て、名物なのが手打ちそばです。しかも素朴というより無骨な感じさえするそばです。俗に言う「田舎そば」ですが、濃厚なそば粉を感じ、のど越しと食感が微妙なバランスによって、そば本来の風味を出してくれています。これもインパクトあるそばです。

なお、弘法伝説に絡んだものとしては、笠間市のすぐ隣に位置する城里町の旧七会村には、弘法大師悲恋伝説の残る徳蔵寺、旱魃の年に弘法大師が八つの瓶を据え八大竜王を勧請した山といわれる八瓶山などもあります。
温泉でリフレッシュする前に、謎の弘法伝説に触れながら非日常を堪能するのも良い場所といえるかもしれません。

[住所] 茨城県笠間市大渕金澤532
[アクセス] 【電車】JR常磐線友部駅下車 / 【車】北関東自動車道友部I.C

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