メンタルヘルス不調の要因は、職場の…

一般社団法人日本経営協会は、昭和24年に「日本事務能率協会」として設立され、当時の通商産業省(現在の経済産業省)から社団法人の認可を受けた団体で、現在の名所に変更されたのが昭和46年。のちに公益法人法制の改正により平成23年から国の移行認可を受けて一般社団法人へ移行した。その日本経営協会が3月28日に「組織のストレスマネジメント実態調査報告書」を発表した。この調査は2016年12月に企業(団体)888団体に質問紙送付することにより行われ、さらに今年に入って1月にはWEB調査も追加され、合計で552件が対象となった結果である。

この調査結果の中で、メンタルヘルス不調者が生まれる主な要因は次のような順位だった。

・1位:「職場の人間関係」(64.3%)
・2位:「本人の性格」(43.7%)
・3位:「上司との相性」(40.0%)

社会問題となっている「長時間労働」は23.9%で、順位は6位だった。

ところが、メンタルヘルス不調者を生まないために実施している取り組みでは、「超過勤務(残業)時間の削減」(69.4%)が圧倒的な数で1位になっていた。
2位だったのが「従業員のハラスメントに対する知識と意識の向上」(44.2%)で、3位が「ハラスメント防止・対策の強化」(35.5%)だったことから考えると、メンタルヘルス対策というより長時間労働問題が焦点がなっていることが、そのまま数字に表れたということかもしれない。

また、メンタルヘルス不調者が勤務先事業所に与える負の影響については以下の順位だった。

・1位:「所属部署の他の従業員の業務負担増加」(50.2%)
・2位:「所属部署の他の従業員のストレス増加」(41.3%)
・3位:「人間関係の悪化」(39.5%)

さらに5位が「職場モラール(士気)の低下」(36.0%)で、上記とあわせた4項目は、まさにメンタルヘルス不調者による負の連鎖を懸念される内容といえる。一人の不調者が出ることにより、その職場では多大なる影響が生じ、さらに次のメンタル不調者を生む原因をつくる危険性があるというわけだ。

では実際に5年前と比較したときに、メンタルヘルス不調による長期休業者数はどうなっているか?
この回答は「増加」が26.0%、「減少」が9.3%だった。さらにメンタルヘルス不調による退職者についても、「増加」が17.8%、「減少」が7.3%だった。
この5年間で、確実に職場のメンタルヘルスは悪化しているといえる数字だった。

興味深いデータとしては、平均勤続年数(中位数による推計値)だ。
ストレスマネジメントに全く取り組んでいない事業所の平均勤続年数が9.7年、積極的に取り組んでいる事業所は16.8年という結果だった。

しかしストレスマネジメントを実施するとしても、問題となっている点は明確になっている。

・1位:「ストレスマネジメントについての専門知識やスキルを持つ人材がいない」(39.5%)
・2位:「マネジャーが多忙で部下のストレスマネジメントにまで手が回らない」(29.9%)
・3位:「ストレス対策のための費用や人手を捻出できない」(25.9%)

ストレスマネジメントを推進しようとしても、実際問題として人員・人材不足という現実があり、ストレスマネジメントを優先する職場風土そのものがまだ確立されているわけではないことが見える。

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千葉麗子

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