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消防署とパワハラ

2014年に山形県酒田市を中心とした広域行政組合消防本部勤務の当時20歳の男性が自殺した。
この自殺事件について、第三者委員会は職場でのパワーハラスメントが原因だったとする報告書をまとめた。その結果、職員15人が停職や減給などの処分を受けることになった。
第三者委員会の報告書では「訓練の中でパワハラが存在し、それが原因で自殺した」とする内容で、酒田市の丸山至市長などが記者会見して公表した。
富山県氷見市では、部下にパワハラをし、上司に暴行したとして氷見市消防署の49歳と47歳の男性消防士2人が停職2か月の懲戒処分となった。
氷見市消防本部はパワハラが常態化しているとして、昨年12月から弁護士による調査を開始し、今回の事実が発覚した。
千葉県では旭市消防本部の消防署分署に勤務する男性中隊長(41)が部下の男性隊員(29)にパワハラ行為をしたとして、訓告処分としたことが報道された。上司に当たる副署長(兼・分署長)、同本部の次長2人も厳重注意処分とし、消防長も市長から厳重注意処分を受けた。
福岡県の糸島市消防本部では、40代の男性職員2人を中心としたグループが、数年にわって職員約30人にパワハラをしていたとして、糸島市が調査していることが報道された。市の調査では、これまでにパワハラに遭ったとみられる若手職員3人が退職し、最近7年間の被害を確認したものの、問題行為はそれ以前から行われていたという。
兵庫県では高砂市の消防署員が部下に暴行をし、3人が首捻挫したとして、高砂市消防本部は市消防署勤務の男性消防士長(51)を訓告にしたと発表した。
同じく兵庫県では明石市消防署員のパワハラ問題などにより、「明石市消防出初式」で消防本部職員への表彰を見合わせたこともあった。本来であれば同本部職員8人が消防長表彰を受ける予定だった。
徳島県では板野、上板両町を管轄する板野西部消防組合の板野西部消防署で、30、40代の男性職員6人が部下の20代の男性職員4人に対してパワハラを行っていたことが判明し、近く加害者を処分するという報道があった。
長野県では2014年に上伊那広域消防本部の消防署員の男性(当時39歳)が自殺したのは、幹部職員によるパワーハラスメントが原因だとして提訴したという報道もあった。遺族2人が上伊那広域連合を相手取り、計約6,709万円の損害賠償を求めて長野地裁伊那支部に提訴した。遺族は「伊那消防署、高遠消防署の幹部職員によるパワハラによって4月下旬ごろ、精神疾患を発症、それにより自殺した」としている。
福井県福井市は、飲み会で部下に全裸になることを強要したなどとして、市消防局東消防署の署長(55)を停職1カ月、同署の男性消防司令(44)を減給10分の1(2カ月)とする懲戒処分とするという報道があった。
消防という仕事は人の生命を救済するという側面のある厳しい現場といえる。
しかも組織力が要求され、上下関係や指導・伝達・共有など、他の職場とは異質な緊張感もあるかもしれない。おそらく一般の人から見れば想像以上のストレスもあるかもしれない。それでも人を救う消防士が退職や自殺に追い込むことは、どんな理屈でも正当化することはできないだろう。