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中国パワーだけじゃない、実はベトナムも! 外国人雇用状況の届出状況

厚生労働省は1月27日に「外国人雇用状況」の届出状況を発表した。
雇用対策法に基づく外国人雇用状況の届出制度は、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的として、外国人労働者の雇入れ・離職時に、当該外国人の氏名、在留資格、在留期間などを確認し、ハローワークへ届け出ることを義務付けているものだ。これはすべての事業主を対象にしている。
今回発表された数値は平成28年10月末時点のもので、届出件数の集計結果であるため、必ずしも国内で働く外国人労働者のすべての数値とはならない。
さて、この数値を見ると、日本で働く外国人の数は前年比より19.4%の増加になっている。人数は108万3,769人で、この数値は2007年の義務化以来、過去最高を更新したことになり、また100万人突破も初めてになる。
外国人労働者数が増加した要因として、厚労省では「留学生の本邦企業への就職支援の強化を含め、政府が進めている高度外国人材の受入れが着実に増えていることに伴い「専門的・技術的分野」の在留資格の外国人労働者数が増加していることが考えられる」としている。(引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成28年10月末現在))
また、留学生の増加にともなう「資格外活動」の増加、雇用情勢の改善の進行等も要因として考えている。
外国人労働者の国籍を見ると、全体の31.8%を占め、人数ではダントツの344,658人なのが中国になる。
中国のメディアでもこの結果は報道されたようで、華西都市報では、「なかには3年で35万元(約586万円)も稼いだ」人もいると伝えているようだ。この記事によれば、日本に出稼ぎしたことで、中国国内では月4,000元(約7万円)程度だった給料が日本では2倍以上の月額16万円になり、しかも中国と異なり、工場の自動化が進んでいるため身体は楽だと伝えている。
中国の次に多い外国人雇用者の国籍はベトナムで、172,018人だった。この数字は全体の15.9%になり、対前年同期比でプラス62,005人、何と56.4%もの上昇になっている。
もともとベトナム人が出稼ぎに行く国としては、韓国やインドネシアが多く、2002年頃からはマレーシアも増加してきたが、収入が少なかったり文化の違いなどから最近は減少傾向といわれる。
日本が増加してきたのは、日本の建設業界の影響と考えられる。建設業界の深刻な人手不足をベトナム人の出稼ぎ労働者が埋められるのではないか考えたようだ。
ベトナム人労働者は真面目で勤勉な人が多いといわれ、日本の企業も受け入れやすく、このまま日本側の受け入れ態勢がさらに進めば、日本の建設業界はベトナム人の出稼ぎ労働者であふれることも可能性としてはある。
しかしその一方で、昨年は駐日ベトナム大使館のベトナム労働管理委員会が、ベトナム人労働者43人の書簡を受け取っていたことが報道された。労働条件が契約内容と異なることを訴える内容だった。
日本の企業がベトナムで技術者採用の求人広告を出したことで、それで応募したベトナム人がホーチミン市に設置したその会社の事務所を通じ、2015年9月に日本へと渡ってきた。その求人広告では、勤務地が東京、月給は2,700万~3,000万VND(約13万6,000~15万2,000円)という条件だった。
しかし、日本での勤務は異なっていた。実際の勤務地は岩手県、月給からは毎月の家賃と光熱費として4万7,000円が引かれたていた。この数字だけを見れば、それほど不当とは思えないが、住居は9人部屋で、その広さも25㎡、食事はコメと副食の野菜だけ、肉や魚、卵はなかったという。さらに労働時間も午前7時から午後7時までで、安全装備のない危険な環境だったという。
その後、ベトナム労働管理委員会はその会社に事情を聞き、岩手のベトナム人労働者の状況を確認に行ったという報道だった。
日本は労働力の減少が深刻化しているのは間違いなく、中国人もベトナム人も労働力として貴重になってきている。ブラック企業問題としては、日本人より外国人労働者のほうがより深刻な状況といえるのかもしれない。
日本で外国人労働者を積極的に雇用する動きが加速する一方で、欧州では昨年の英国のEU離脱でも焦点となった外国人移民の受け入れが議論の対象になっている。日本では外国人労働者の受け入れについて、まだまだ議論をしていないのかもしれない。