今週の一作 「U理論―過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術」

未来から現実を創造せよ
U理論
―過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
著者:C・オットー・シャーマー C. Otto Scharmer
訳者:中土井 僚
訳者:由佐 美加子
単行本: 608ページ
出版社: 英治出版
単行本で608ページの分量ということで、かなり重厚な書籍といえる。
著者のC・オットー・シャーマーは、マサチューセッツ工科大学上級講師、プレゼンシング・インスティチュート創設者で、持続可能な世界をめざす部門横断的な活動体ELIAS(Emerging Leaders for Innovation Across Sectors)創設者、ヘルシンキ大学経営学部イノベーション・知識研究センター客員教授でもある。
人・組織・社会の「在り方」を鋭く問う現代マネジメント最先鋭の「変革と学習の理論」を邦訳したということで、2010年11月の発売以来、重厚な書籍であるものの依然として人気の高さを誇る。
その内容は幅広い知見によるもので、従来の経営学的な視点だけでなく、哲学、心理学、認知科学、さらには東洋思想までの範囲を織り込んだ理論になっている。そのため、誰にでも手軽に読めるというより、「U理論」の持つ独自の世界により、その深淵な示唆と斬新な構想にふれるにはある程度の熟読が必要かもしれない。
過去の知識によるものだけでは今日的課題に対処できないがゆえ、過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術として「未来から」学ばなければならないのだ、と著者のC・オットー・シャーマーは説く。その手法を体系化したものが「U理論(Theory U)」で、その実践こそが読後に問われるのかもしれない。