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給料UPはモチベーションUPに関係しない?

企業内のモチベーション理論でよく耳にするものとして、マズローの欲求5段階説と並んで多いのが、ハーズバーグの動機づけ・衛生理論だ。この研究・理論によって企業内モチベーションや職場作りのベースになることも決して少なくない。
フレデリック・ハーズバーグはアメリカの臨床心理学者で、仕事における満足と不満足を引き起こす要因に関する理論を提唱した。仕事に満足感を感じる要因と不満足を感じる要因は全く別物だ、という考え方だ。
1959年に確立された理論なので、決して最先端の学説ではなく、むしろ古典的ともいえそうではあるものの、現在でもキャリアモチベーションにおいて影響力を持っている。
そこで、給料UPはモチベーションUPに関係するかということを考えてみる。
何となく、給料が増えればそれだけやる気が出てきて、仕事への取り組み方もUPするだろうと考えがちだ。
しかし結果は異なる。
給料はUPしてもモチベーションにはほとんど影響しない。
ところが面白いことに、給料が下がった場合は、モチベーションは大きく下がる。
ハーズバーグは人間には2種類の欲求があるとした。
一つは、苦痛を避けようとする動物的な欲求、もう一つは、心理的に成長しようとする人間的欲求で、両者それぞれ別々の欲求があるとした。
苦痛を避けようとする動物的な欲求をいかに充足しても、人間は不満足感が減少するだけで積極的な満足感を増加させることにはならない。給料が増えることで、動物的欲求は充足できても、それによって積極的な満足感、つまりモチベーションがUPすることには繋がらない。
不満要因をいくら取り除くことに成功したとしても、満足感を上昇させることには影響しない、不満足感を減少させる効果しかないことになる。
仕事の満足感、モチベーションを上げるためには、「動機づけ要因」にアプローチしなくてはいけないということになる。
ちなみにモチベーションUPに繋がる動機付け要因は、以下のようなものを挙げている。
・達成感
・承認
・仕事そのもの
・責任
・昇進
・成長
逆にモチベーションを低下させる衛生要因としては以下が挙げられている。
・会社の方針と管理体制
・監督
・上司との関係
・労働条件
・給料
・同僚との関係
・個人生活
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論は、アメリカから日本に入ってきたもので、日本人にそのまま適用しないのでは、という話は昔からあった。
日本人の場合、欧米の職場と比べ帰属意識が高く、いわばコミュニティや人の繋がりが大きく影響する傾向にある。そのためアメリカよりもモチベーション満足度に人との繋がりが貢献する可能性が示されてきた。
日本人の場合は、仕事仲間に恵まれることがモチベーションを上昇させる効果があり、場合によっては自身の昇進や達成感以上の効果を発揮することもあるようだ。
仕事仲間に恵まれる環境を求めるのはある意味で偶発性の高いことといえるが、もしそのような機会を得られたら、日本の職場ではこれ以上の満足感はないのかもしれない。