今月の顔 ~千葉 麗子~

千葉 麗子

愛称「チバレイ」。テレビやラジオで活躍し、「電脳アイドル」としても有名になり、その後にIT企業を起業。その後、結婚・出産・育児を機にヨーガをはじめ、インドでの修行などを経て「インテグラル・ヨーガ」のメソッドを確立。執筆家としても著書多数。現在「はた楽サロン」のプロ・コメンテーターとしても活躍。

すべては家族のトラウマから ~うつ病を乗り越えて~

トラウマ
英語では「psychological trauma」。日本語では「心的外傷」といい、正式な医学用語というわけではなく、個人が外的内的要因により心理的に大きな衝撃が与えられ、肉体的、精神的な衝撃の影響が長く残り、その影響にとらわれてしまう状態のことをいう。否定的な影響を保持し続ける精神的な外傷を指す。

千葉麗子は生い立ち、家族のトラウマからうつ病を経験することになった。
このトラウマと真摯に向き合ったのは、産後のうつが契機だった。心療内科に通うことになり、さらには2度目のうつ病を再発してから精神療法つまり精神カウンセリングを受けることになった。

このときに医薬品に頼る治療法だけでなく、今まで記憶の奥底で鍵を閉め、一切無視してきた部分に向き合う決断をした。
このカウンセリングは毎回、行うごとに悲しみの涙や悔しさの感情をともなうものだった。

カウンセリングにより記憶をさかのぼり、もっとも古い記憶は4歳のときだった。
4歳の千葉麗子は泣き叫んでいた。

痣だらけだった。
蹴られていた。
血だらけだった……。
今でいう「DV」を受けていた。

そのDVは父親からだった。彼女の父親は昭和23年生まれで福島県の公務員。娘を溺愛していた。
両親の関係も悪かった。
父親はアルコール中毒気味でうつ状態。
母親は激情的で、いわゆる「キレる」タイプ。よくものを投げたりしていた。
大阪生まれのお嬢様育ちが、福島という慣れない地域での生活に大きなストレスを抱えていたのかもしれない。

現在であれば、子供の泣き叫ぶ声に対して近所の人から警察への通報があるだろう。それほどの環境だった。当時でも、近所の人たちから「どうしたの?」という声はかけてもらった。
逃げ場のない地獄絵図のような環境ではあったが、唯一の救いは祖父母の家が比較的近くにあったことだった。よく祖父がバイクで助けにきてくれた。

小学校に行くと、友達からはどうして傷だらけなのかとも聞かれた。親にやられたとは言えなかった。
転んだと嘘をつき、強がるしかなかった。

4歳下の妹は被害にあわず、その姉妹間の差も心に傷を負わせた。

中学生のとき、父親からは偏執的で異常な愛による行動もあった。
帰宅が夜の8時頃になったときのことだ。公務員の父親は定時で帰宅するため、自宅で彼女の帰りを待っていた。
帰宅すると、父親は彼女のスカートをまくり、下着を脱がせた。

「男とやったんだろ?」

信じられない言葉を浴びせられた。

異常な生活環境から脱するため、実家を早く出るという行動に出たのだが、心理的にはそれだけではない複雑なものがあったようだ。
追い詰められた感情はハングリー精神にも繋がった。これはオーディションに合格したことの背景だったかもしれない。
もうひとつは、テレビの画面で輝くアイドルがファンに愛されている姿に憧れていたことから、自分もアイドルになれば「愛」がもらえると思ったことだった。
しかし、この「愛」は実際にアイドルとなり、大勢のファンに囲まれるようになると、これは違う、ということに気付く。欲しかった「愛」ではない。

おそらくアイドルからIT企業への転進には、そのような様々な心理が働いていたのだろう。

すべては繋がっている ~ヨーガとの出会い~

ヨーガ
1990年代後半から世界的に流行しているヨーガは、フィットネス的要素が強く、宗教色を排したエクササイズというイメージが強いかもしれない。しかし、本来はインドの諸宗教と深く結びついたスピリチュアル的要素が多く、心身の鍛錬による精神統一から輪廻転生からの「解脱」に至ろうとする修行法でもある。

千葉麗子は、インドでの修行などを経て、国内だけでなく米国でもヨーガの普及にも務めているが、その一連の行動は、生い立ち、家族とのトラウマとも結びついている。

しかし、そもそもヨーガに注目したのは、妊娠中にたまたま見た海外のファッション雑誌だった。
その雑誌の中で、マドンナがヨーガマットを持ってセントラルパークにいる画像を見た。なぜここに注目したのか?

これは日本で流行するのではないかと思ったから。
決定的だったのは、マドンナがやるくらいのことだから、ヨーガは単なるやダイエットやフィットネスだけでなく精神的なメッセージ性を持っていると感じたことだった。

出産後、フィットネスクラブのヨーガを始め、次第に物足りなさを感じるようになった。
そして、インドに渡った。

大胆な行動にも思えるが、インドへ向かう気持ちには父親の影響もあった。
実は父親の書斎には東洋哲学やヴェーダ関連、ヨーガの書籍が多くあった。彼女にとっては悲惨な幼少期であったが、父親は当時、東洋的な思想から内観や自己観察など、それなりに向き合っていたようだった。今だから冷静にそんな事実を受け止められる。

ヨーガとの出会いによりインドへ渡ったことも過去と繋がっているということは、幼少期のトラウマと向き合い、すべてを受け入れたことに由来するのかもしれない。言い訳や逃亡をせず、傷を見て、その後に思考の切り替えをすることでポジティブな行動に移す、あるいは行動から思考がかわってくる。

千葉麗子はただ単にうつ病を克服した訳ではないのかもしれない。
ますますエネルギッシュになり、次々と新しい分野へとチャレンジしていくその生き様、姿は、同じ体験をしているうつ病の人間たちの力となるだろう。

「はた楽サロン」のコメンテーターとしても、さらなる活躍が期待される。目が離せない。

 

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千葉麗子

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