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加藤 勝雄
私の夢:健康経営企業を1社でも増やし、ハラスメント被害者を1人でも減らすこと
私の専門分野:ハラスメント防止 アンガーマネジメント 『健康経営』
中央大学法学部法律学科卒 銀行元人事部長・常務取締役 メンタルヘルス支援会社ではカウンセラー、人事コンサルタント 人事部長、人事担当常務としての経歴は16年間に及び企業の現場を熟知している 現在21世紀職業財団認定 ハラスメント防止コンサルタント 同客員講師、民間企業や公的機関でセミナー研修講師として活躍中、求職者支援訓練校では就職支援責任者 また総務省消防庁「ハラスメント対策WG」有識者委員を委嘱され民間の知見を積極的に発信 アンガーマネジメントファシリテーター™ アンガーマネジメントハラスメント防止アドバイザー 産業カウンセラー キャリアコンサルタント (国家資格) 2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格) 健康経営エキスパートアドバイザー
【URL】https://kato-katsuo.com/
職場のパワハラの本質を考えるパワハラはさまざまの視点から論じられている。企業のコンプライアンスの視点、リスクマネジメントの視点、そして被害者や行為者などへの対応(カウンセリング)などの視点である。
私は職場のパワハラの本質は、特に上司と部下との人間関係のトラブルであると考える。厚労省の実態調査でも、パワハラに関する相談がある職場の特徴として「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」が51.1%と第1位となっている。上司と部下とのコミュニケーションが少なく、信頼関係ができていない職場ではパワハラが起こりやすい。逆に上司と部下とのコミュニケーションがよくとれていて、信頼関係が構築できている職場ではパワハラは起こり難いのだ。
しかし、この『コミュニケーション』という言葉ほど曖昧に使われている言葉はないように思う。産業組織でいう『コミュニケーション』という意味は、単なる話し合いやダベリンク゛ではなく、「互いに思考・意思・感情(考え・思い・気持ち)を伝達し合って仕事の共有関係をつくること」だ。上司も部下もこの『コミュニケーション』の意味を正しく理解し、それを実行することが重要だ。実行する際の上司のポイントは「傾聴」であり、部下のポイントはタイムリーな「報告・連絡・相談」だ。
上司と部下との『信頼関係の構築』は『コミュニケーション』以上に難しい。上司はどうやって部下との信頼関係を構築すればよいだろうか。今の若者は“ゆとり世代”“さとり世代”とか言われストレスに弱い、などと揶揄されることが多い。しかし意外と真面目で自分の将来について真剣に考えている。したがって上司は時々部下に仕事のことやこれからのキャリア形成のことをじっくり聴き、そして可能な限りそれを支援していくことが大事だ。上司の部下へのキャリア形成支援の姿勢こそが『信頼関係の構築』の要諦だと考える。そういう上司に部下がついて行くのは、昔の時代も今の時代も変わらないのではないか。
パワハラには、直接的な原因もある。それは、「人は怒鳴れば、恫喝すれば言うこときく」という大きな誤解だ。そしてその誤解のもとに、部下が自分の意のままにならないときに怒りだし感情がヒートアップして感情のコントロールがきかなくなり、それがパワハラに繋がってしまう場合が多い。これに対処するためには、『アンガーマネージメント(“怒り”のコントロール)』がきわめて有効なメソッドだ。
このようにパワハラの本質には、パワハラが起きる背景からくるものとパワハラの直接の原因からくるものがあることに注目だ。パワハラ防止対策は企業のコンプライアンスやリスクマネジメントなどの視点とあわせて、これらのパワハラの本質を考えた内容で実行されなければならない。具体的には、職場の『コミュニケーション』、上司と部下との『信頼関係の構築』、そして『アンガーマネージメント(“怒り”のコントロール)』だ。これらを柱に入れたパワハラ防止対策を実行すれば、真に実効性ある対策となるものと確信する。