今週の一作 「うつ病休職」

1通の”診断書”から始まる、終わりなき消耗。

もはや社会問題- 精神科医が真相に迫る

新書: 192ページ
出版社: 新潮社 (2017/5/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4106107171
ISBN-13: 978-4106107177
発売日: 2017/5/16

内容(「BOOK」データベースより引用)
「仕事がきついので、会社を休みたい」とクリニックに駆け込む人々。マニュアル通りの問診で「うつ病」と診断する医師。診断基準の変化や新型薬の普及で、うつ病やそれを理由に休職する者が増大、こうした状況に企業も困惑し、社会問題化している。しかし、それは本当に“病気”と言えるのか?医学ではなく労務上の問題ではないか?あやふやな診断が社会に与える影響は?精神科医が「うつ病休職」の正体に迫る。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
中嶋 聡
1955(昭和30)年生まれ。東京大学医学部医学科卒業。医学博士。精神科医。96年、沖縄県に「なかまクリニック」を開業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 二〇〇〇年に電通事件(自殺)、二〇〇七年に積善会事件(自殺)、二〇一四年に東芝事件(解雇)の判決が下されました。いずれも、企業の精神衛生に関する安全管理責任が断罪され、企業にとって非常に厳しい判決が下されました。
 これらの判決に企業も、社会全体も、影響というより衝撃を受け、メンタルヘルスに関する安全管理体制を整備しなくてはならないという機運が高まりました。(36ページより引用)

この後におきた事件としては、昨年の「第二の電通事件」が記憶に新しいが、これらにより企業の安全管理体制の整備へという方向性が示されたといえるものの、著者はここで注目すべき視点で語っている。そんな単純な問題ではないと。
実はそれこそがこの著書の主題である「診断書問題」だというのである。

 その第一の理由は、DSMという診断基準(一九八〇年に現在のDSM-5の雛形であるDSM-IIIが発表された)の導入です。その結果、一九九〇年代には、一九八〇年代の二倍に増加しました。
 さらにもう一つ、うつ病の激増をもたらした要因は、SSRIと呼ばれる新型の抗うつ薬の発売です。SSRIは従来の抗うつ薬に比べて副作用が少なく、使いやすい薬です。それゆえ、うつ病の診断を厳密にしなくても抑うつ状態一般に使うことができます。これが発売された一九九九年を境に、うつ病はさらに急激に増加したのです。(90ページより引用)

うつ病の定義が変化したことで、従来の「疾患」として扱われてきた「うつ病」ではないものも、うつ病という診断に変わってきたというのである。

 「ストレスによって起こる」と因果関係をはっきり説明できるものは、うつ病ではありません。それは抑うつ反応です。
 うつ病は、一見ストレスによって起こっているように見え、または本人がそのように感じていても、専門医が診ればストレスでは説明できない点が必ずあります。ストレスは、発症のきっかけや悪化要因として関係しているにすぎません。逆に言えば、ストレスで説明がつかない点があることが、うつ病であるための条件(必要条件)なのです。(96ページより引用)

このようにストレスとの関係など注目すべき内容が語られている。

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