藤井四段の深夜対局と「光GENJI通達」の関係は?

将棋の話題がこれほどまでに加熱したのは、前人未到の29連勝を成し遂げた藤井四段が、連勝中に各マスコミで取り上げられたからといえる。
ただ藤井四段はまだ中学生。
義務教育を受けている身でありながら、深夜まで対局が続くこともある。
労働基準法では、18歳未満の深夜労働が原則的に禁じられていることもあり、一部、そんな状態に疑問を抱く人もいたようだ。一部の新聞紙面で取り上げていたが、この問題が注目されることはあまりなかったといえる。

そもそも労働基準法の適用というのは、「労働者」が対象ということになる。事業主から雇用されていることが条件といえるのだが、棋士は雇用されているわけではない。「個人事業主」になる。そのため労働基準法の対象外ということになる。

中学3年生でもプロ棋士である以上、立派な個人事業主になるわけで、深夜労働という話そのものが無縁ともいえる。
しかし、この年代のアイドル・グループや子役などはどうなるか? 中学生のアイドルが深夜時間帯の生放送番組に出演することは可能なのだろうか?

そこで思い出すのが、かつてTBSテレビで放送されていたザ・ベストテンという番組。

「労働基準法のために出演することができません」

絶大な人気を誇った光GENJIのグループ内には、義務教育を受けているメンバーが2人いた。そのため夜の9時から放送されるザ・ベストテンにはメンバー全員で出演できなかった。

しかし、これが当時の労働省から、俗に「光GENJI通達」といわれる通達により出演が可能になった。
この「光GENJI通達」は、労働基準局長名で1988年に発した通達で、昭和63年7月30日基収355号になる。

具体的な通達の内容は、以下の項目を全て満たす者は、表現者であるとみなすことで、労基法でいう労働者にはあたらないという通達だった。

1 当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっていること。
2 当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではないこと。
3 リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはないこと。
4 契約形態が雇用契約ではないこと。

光GENJIの出演に関して、国会や関係機関で議論が行われ、最終的に上記の結論に達しことになる。
芸能人の場合、上記の一定の条件を満たせば労働者ではなくなることになるが、これは裏を返せば、同じ芸能人でも人気がなければ労働者となる、と読み取れるものである。

甚だ曖昧な要素を持つ通達内容なせいか、ここ最近の芸能界では、多くの芸能プロダクションや放送局が自主規制している。満15歳未満または義務教育中の芸能人については、夜間の活動を、概ね午後9時までに制限した自主規制である。

今回の話題は芸能人ではなく、天才棋士で、最初からこの「光GENJI通達」との関連を述べる必要はないのかもしれない。

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