国際労働機関(ILO)の常任理事国であるわが国の批准レベル

国際労働機関(International Labour Organization・略称:ILO)はあまり馴染みがないかもしれないが、1919年に創設された世界の労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする国連最初の専門機関で、日本は常任理事国である。加盟国は187ヶ国にまで及ぶ。

このILOが労働環境整備の国際的なルールとして定めたのがILO条約で、現在その内容は189条約ある。
(撤回分の5条約含む)
各条約について、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均批准数は74であるが、日本は49しかない。
この条約の中でも、ILOが最重要と位置付けるのが8条約で、加盟国187ヶ国中140ヶ国(EU含む)が批准している。
ところが常任理事国であるわが国は「雇用および職業についての差別待遇の禁止」と「強制労働の廃止」を求める2つの条約について批准していないという状態。

さらに「労働時間」に関する条約についても日本の特異性が現れている。
この関連条約は、現在18条約あるが、何と日本は一つも批准していないのである。
ILO条約には、工業労働者の労働時間を1日8時間、週48時間と定め、労働時間を週40時間に短縮することを掲げている。これが労働時間規制の国際的な基本ルールとされてきたものになる。
このILO条約に対して、わが国の労働基準法は、労働時間を原則で1日8時間、週40時間までと規定する点はともかく、EU盟国が週48時間の上限を厳格に定めるのに対し、規制を事実上外すことを可能にする36条の労使協定(サブロク協定)があることから、明確な違いあが生じている。

過労死につながる長時間労働の温床と指摘されるのも、ILO条約の未批准によるいわば「抜け穴」が明確に存在するといえるのかもしれない。
条約に批准することで、国内法の整備を求められることになるが、逆に批准をしないことで、国際標準の労働法制の整備が遅れることになる。先進国のTOPグループを走り、常任理事国のわが国が、長時間労働がはびこる要因をそのまま保ち続けることがはたしてどうなのか、疑問を感じずにはいられない。

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